樹氷のスノーモンスターと霧氷が輝く蔵王温泉スキー場

広大な樹氷の森は白銀のパラダイス
絶景のスキー場として見逃せないのが、スノーモンスターで有名な山形県の蔵王温泉スキー場でしょう。厳しい自然が創り出した樹氷の芸術品スノーモンスター(アイスモンスター)は必見です。
今年2020年の冬は、地球温暖化で蔵王のモンスターもスリムでオシャレになっていました。例年どおりボリューム感のあるビッグモンスターを期待していたのですが、少し残念です。しかし、一瞬の晴れ間に姿を見せた樹氷は、青空を背景に白銀のオブジェのように輝いていました。
マイナス5度以下の厳冬の寒さの中、冷却された水蒸気が樹木に吹きつけられて凍結してできた樹氷。強い風により「エビのしっぽ」が造られています。しかし、樹木は羽毛を着てなんとなく暖かそうにも見えました。
今年はスノーモンスターに出会えないのかと思っていましたが、三宝荒神山の頂上付近でいくつかのモンスターに出会うことができました。
三宝荒神山の頂上より望むモンスターと蔵王連峰。
三宝荒神山の樹氷の森。本来であればモンスターの森なのですが・・・
ゲレンデの中は、陽差しが当たると宝石のように輝きを放つブナ林の霧氷。
美しい樹氷や霧氷に囲まれた蔵王温泉スキー場
蔵王温泉スキー場の魅力は、美しい樹氷のモンスターや霧氷を眺めながら滑ることができることでしょう。またロープウェイ4基を備え、初級者から上級者まで楽しむことができるバリエーション豊かなゲレンデ、コース数が26もある日本最大級のビッグゲレンデでもあります。このスキー場を楽しむためのアドバイスを以下のとおりご紹介します。
- 地蔵山頂駅からスタートする樹氷原コースは、樹氷に囲まれた林間コース。スピードを抑えて樹氷を眺めながら滑りましょう。
- 樹氷原コース後の広々とした「百万人ゲレンデ」または「黒姫スーパージャイアントコース」は、開放感たっぷりで滑りやすいので思う存分楽しもう。
- 上級エキスパートは、傾斜38°の「横倉の壁」にチャレンジ。初心者は無理。
- コブを楽しみたい人は、大森ゲレンデへ。
- 競技を目指す人は、ハーネンカムコース。但し、「上の台」の緩斜面にさしかかると、他のコースとの合流、初心者、ファミリーがいるので減速、要注意。
- スキーだけを楽しみたいなら、蔵王山麓駅のロープウェイは利用しない方が無難。国内外の樹氷観光の団体客も利用するので行列ができて混雑し、時間のロスとなる。
- 初心者は、緩斜面の「上の台ゲレンデ」や「横倉ゲレンデ」がオススメ。
- ゲレンデ内の移動コースが複雑。発着駅の中央ロープウェイ温泉駅周辺とロープウェイ蔵王山麓駅周辺のゲレンデは、繋がっていないので、スキー、スノボでの往来は不可。最終滑走でコースを間違えて駐車場へ帰れなくならないように注意。
- 天気の良い日が少なく、天候も変わりやすいので、天気予報で確認して行くことをオススメ。
- スキー、スノボの後は、多くの温泉があるので、疲れを癒やして帰りましょう。
ザンゲ坂・樹氷原コースは、樹氷の森の中を滑る林間コース。
蔵王温泉スキー場から望む出羽三山。
蔵王山麓駅より山麓線ロープウエイで樹氷高原駅まで行き、ここから山頂線ロープウェイへ乗り換えて地蔵山頂駅へ向かいます。
地蔵山頂駅付近は、ロープウェイの中から樹氷の森を眺めることができます。山頂駅の展望台は「恋人の聖地」。広大な樹氷の森を一望できます。また夜にはライトアップされて幻想的な世界が広がります。
スノーモンスターに出会うためのアドバイス
自然が創り出すスノーモンスター(アイスモンスター)は、ここ蔵王温泉スキー場や八甲田山など限られた一部の山間部でしか見ることができません。但し、樹氷だけでしたら他の標高の高い山岳部やスキー場でも見られます。
特に蔵王温泉スキー場からは、ロープウェイを利用し、地蔵山頂駅の展望台より、広大なスノーモンスターの森が一望できます。また間近に近寄って見ることもできます。しかし、残念ながら、暖冬により2020年2月中旬時点では、単なる樹氷でボリューム感のあるスノーモンスターの森を見ることができませんでした。
スノーモンスターは、以下の限られた条件がなければ見ることができないのです。
- 標高1000m以上の高山でアオモリトドマツなどの常緑針葉樹が自生していること。
- 氷点下5°以下の寒さがつづいていること。
- 一定方向から雪まじりの強風が樹木に吹きつけ着氷、着雪を繰り返すこと。
- 冬型気圧配置が持続し、シベリアからの季節風が吹いていること。
- 積雪が2~3mあること。多すぎると埋もれてしまう。
このような厳しい条件が重ならないと見ることができないのですが、今年は残念ながら暖冬により、冬型の気圧配置が持続せず、季節風もあまり強くなかったようです。
しかし、前述のとおり三宝荒神山の頂上付近にはいくつかモンスターがありました。しかし、地蔵岳も登りましたが、残炎ながらモンスターはありませんでした。これらの雪山はスノーシューを履かないと登れませんので、スニーカーやブーツでの登山はオススメできません。
またスノーモンスターは低温と吹雪によってできるものなので、十分な防寒ウェアが必要です。
スノーモンスターに出会うために最も重要なことは天候です。天候が悪いと霧や吹雪で広大なスノーモンスターの森を十分に眺めることができません。前日に天気を確認しておくことも重要ですが、天候が変わりやすいので、当日もスマホで下記サイトの三宝荒神山の「お天気ナビゲーター登山ナビ」で確認することをオススメします。このサイトは、注意報、雨雲のようす、1時間毎の天気、見晴らしのようす、発雷情報など気象の詳細が掲載されていますので、地蔵山頂部樹氷原の気象の参考になります。
https://s.n-kishou.co.jp/w/charge/kanko/kad.html?code=06150031
またスキー場の下記サイトのロープウェイ山麓駅からのライブ映像も参考にして、ベストなタイミングで蔵王山麓駅よりロープウェイを利用することをオススメします。なぜか地蔵山頂駅の展望台付近にライブカメラの設置がないのが残念です。
ストップ地球温暖化!
今回、蔵王のモンスターの森を見たいと思って訪れたのですが、正直ガッカリでした。痩せ細った樹氷は、蔵王でなくても他のスキー場や山岳地帯でも見られるもので、特に珍しいものではありません。これは地球温暖化の影響が深刻であることを物語っています。
蔵王温泉スキー場の積雪は問題なかったのですが、今年2020年は全国各地のスキー場や雪に関わるイベントなどでは、雪不足が深刻な問題となりました。蔵王のモンスターもあと40年後には消滅するとの説もあります。
ここ数年、温暖化による異常気象で、全国各地で台風、豪雨などによる大規模な河川の氾濫、強風、土砂災害などで甚大な被害が起きています。
海外でも異常高温や熱波で大規模森林火災が発生しています。干ばつや海面上昇、自然生態系への影響も深刻です。最近数年間で温暖化が加速しているように思えます。
今後は気温上昇による農産物への影響で食料不足、熱帯性の感染症による被害も考えられます。将来、取り返しのつかない状況になってしまうのではないかと不安です。
一人ひとりが地球温暖化に対し、何をしなければならないのか考えなければならない時が来たと言えるでしょう。
アクセス
蔵王温泉スキー場は、クルマ、新幹線、電車、高速バス、飛行機、バスなど多くの交通機関を利用して行くことができます。下記公式ホームページを参考にしてください。
クルマ利用の場合のみ付け加えておきます。
●関東方面からは、以下の2ルートがあり
1. 東北自動車道より村田JCT->山形自動車道->山形蔵王IC->西蔵王高原ラインー>山形蔵王温泉スキー場
・最短時間のコース、高速料金が少し高い
・ルートが分かりやすい
2. 東北自動車道より福島JCT->東北中央自動車道ー>かみのやま温泉IC->国道13号線->県道21号線->山形蔵王温泉スキー場
・最短距離のコース、高速料金が少し安い
・東北中央自動車道は、目的地まで長いトンネルが多く休憩できるPAが南陽1ヶ所のみ。
・カーナビ利用がオススメ
●北陸方面より
1. 北陸自動車道より荒川胎内IC->国道113号線->南陽高畠ICより東北中央自動車道ー>かみのやま温泉IC->国道13号線->県道21号線->山形蔵王温泉スキー場
●青森、岩手、宮城方面
1. 東北自動車道より村田JCT->山形自動車道->山形蔵王IC->西蔵王高原ラインー>山形蔵王温泉スキー場
まとめ
今年2020年の蔵王は、暖冬で冬型の季節配置が弱く樹氷もスリムになっていました。残念ながらモンスターの森とは言い難い状況でしたが、白銀のオブジェのような輝きを見せてくれました。またスキー場内のブナ林の霧氷も綺麗でした。
しかし、モンスターの森となっていない景色を眺めていると、地球温暖化が深刻な状況になってきているように思えて心配です。我々はこの現実を真摯に受け止めなければなりません。
世界各地で起きる温暖化による甚大な被害。我々の身近な生活にも既にこの現実が迫って来ています。
我々一人ひとりが、少しでも二酸化炭素の排出削減になるような身近な行動を起こして行くべきでしょう。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
他の絶景スキー、スノボゲレンデについて、以下のサイトにブログを投稿してあります。